「もっと体幹を鍛えたほうがいいですよ」。レッスンでそう言われて、家でプランクを始めてみた——そんな方もいるのではないでしょうか。
ところが、しばらく続けても、踊っているときの安定感はなかなか変わらない。板のように固まる練習はできても、いざ動き出すとやっぱり体がぐらつく。「これ、本当に意味あるのかな」と、ふと手が止まる。そんな経験はありませんか。
この記事では、社交ダンスに体幹は必要なのか、そして必要だとしたら何をどう考えればいいのかを、少し違う角度から整理してみます。「鍛える」の前に知っておくと、練習の向き先が変わってくるかもしれません。
そもそも、ダンスに体幹って必要なの?

結論から言うと、動いている間ずっとブレない体は、社交ダンスにとってとても大切です。ホールドを組むときも、ターンで回るときも、体の中心が落ち着いているほど、動き全体が静かにまとまります。ここは、はっきりそう言えます。
ただ、少し立ち止まって考えたいことがあります。私たちが「体幹がほしい」と思うとき、本当に求めているのは何でしょうか。お腹の筋肉の厚みでしょうか。それとも、踊っている間ずっと崩れずにいられる、あの安定感でしょうか。
おそらく、ほしいのは後者です。パートナーと組んでも流れない、最後の曲まで姿勢が保てる、そういう「ブレなさ」がほしい。だとすると、話は「筋肉をどれだけ増やすか」というところから、少しずつずれてきます。
体幹を「鍛える」のと「使える」のは、別の話
体幹を鍛えるというと、多くの方が腹筋や背筋の筋トレを思い浮かべます。もちろん、筋力はあるに越したことはありません。でも、筋肉がついていることと、踊りの中でその体幹がちゃんと働いてくれることは、必ずしも同じではないのです。
しっかり筋トレをしている方でも、動き出すと肩に力が入って上体が泳いでしまう、ということはよくあります。逆に、特別なトレーニングをしていなくても、すっと安定して踊る方もいます。この違いは、筋肉の量というより、体をどう使っているかから生まれています。
鍛えて手に入れた力を、動きの中で邪魔にならないように使えるかどうか。社交ダンスで効いてくるのは、この「使える」側のほうなのです。
必要なのは、固めた胴体じゃない
「必要か、必要でないか」で言えば、必要です。ただ、その中身を「固い胴体を作ること」だと思い込むと、少し遠回りになりがちです。求めているのは、動きながら中心がブレないこと。かたく固めた体ではなく、動きについてこられる落ち着いた体、と考えるほうが近いかもしれません。
力で固めた体幹ほど、動きが硬くなりやすい

ここに、見落としやすい落とし穴があります。「体幹を安定させよう」と意識すると、お腹や背中にぐっと力を込めて、胴体を固めようとしてしまいがちです。板のように固めれば、たしかにその瞬間は動かなくなります。
でも社交ダンスは、止まっている競技ではありません。上体を静かに保ちながら、足はなめらかに運び、パートナーの動きに合わせて全身が流れていく。胴体をがちがちに固めてしまうと、その流れがそこで止まってしまいます。
力を込めて固めるほど、手足の動きにブレーキがかかる。呼吸も浅くなって、数曲踊るとどっと体が重くなる。「安定させたい」という気持ちが、かえって動きにくさを生んでしまう。一生懸命がんばっているのに空回りしているとしたら、こういうことが起きているのかもしれません。
ダンスが上手な方の体を見ていると、ぴくりとも動かないように固めているわけではないことに気づきます。むしろ胴体はしなやかで、必要なところに、必要な分だけ力が通っている。固めて止めるのではなく、動きの中で中心が通り続けている。上手い人ほど力んで見えないのは、そのためです。
ダンスで体幹を鍛えるメリットって、結局なんだろう
体幹に取り組む値打ちは、お腹まわりを引き締めることそのものではなく、動きの土台ができることにあります。土台が落ち着けば、上体は少ない力で保てて、手足は自由に動けます。だとすれば目指したいのは、太い筋肉そのものより、その土台がちゃんと働いてくれる状態のほうだと言えそうです。鍛えた力も、この土台があってはじめて、踊りの中で生きてきます。
鍛えるより先に、整えるという順番
では、どうすればいいのでしょうか。ひとつの考え方は、「鍛える」の前に「整える」を置いてみることです。
体の重心が真ん中に近いところにすっと収まっていると、胴体をわざわざ固めなくても、上体は自然と落ち着いてきます。少ない力で、動きながらブレない。この状態に近づくと、同じ体幹でも働き方がまるで変わってきます。
力を足していく発想ではなく、余計な力みを抜いて土台を落ち着かせる発想。順番として、まず整えておいてから必要な力を使うほうが、社交ダンスのように動き続ける踊りには合っていることが多いのです。上手な方が力んで見えないのは、力がないからではなく、この土台が先にできているからだと言えます。
この「整った状態」は、言葉で説明を追いかけるより、一度自分の体で味わってみるほうが早くつかめます。文章を読んで「なるほど」と思うのと、実際に体がふっと軽くなる感覚を知るのとでは、腑に落ち方がまるで違うからです。
力に頼らずに体が安定する感覚を、実際に確かめられる体験会があります。体幹トレーニングとは少し違う入り口を試してみたい方は、よければ一度のぞいてみてください。
力まずに整える体の使い方を体験してみる


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