レッスン中、先生に「ホールドが崩れてる」と言われるたびに、ぐっと腕に力を入れて形を作ろうとする。でも少し動くと、またすぐに崩れてしまう。そういう経験を繰り返している方は多いのではないでしょうか。
不思議なことに、力を入れれば入れるほど崩れやすくなる、という感覚を覚えたことはありませんか。意識すれば意識するほど、体がかちこちに固まってしまう。あの感じです。
実は、ホールドが崩れる原因の多くは「力が足りない」ことではありません。むしろ「力の方向が違う」「支える位置がズレている」ことの方が、崩れる原因として大きいのです。
ホールドが崩れる理由、実は2つあった

ホールドが安定しない理由を大きく分けると、ひとつは「力み」、もうひとつは「支える位置のズレ」です。
力みというのは、ひじや肩に必要以上の力が入っている状態のことです。形を維持しようとして腕や肩に力を込めると、その部分が固まって動けなくなります。パートナーの動きに対して体が反応できなくなり、ちょっとした動きで崩れてしまいます。
支える位置のズレというのは、ホールドを「腕だけで」作ろうとしているときに起きやすいことです。腕の角度や肘の高さを調整して形を作っても、それを支える体の土台——背中や体幹のあたりの安定——が整っていないと、どれだけ腕を意識しても形が保ちにくくなります。
社交ダンスの姿勢や体の使い方についての基礎を知りたい方は、社交ダンスの姿勢が作れない理由と整え方も合わせて読んでみてください。
腕で固めようとするほど、なぜか崩れていく
ホールドを「力を入れて維持する」のと、「力をかけて保つ」のは、感覚としても結果としても大きく違います。
力で保とうとするほど、なぜか崩れていく
腕や肩に力を込めて形を「固める」と、一見安定しているように感じますが、それは体が硬直しているだけです。硬直した状態では、少しでも体重の位置が変わったり、パートナーが動いたりすると、ぐらっと全体が崩れやすくなります。
たとえば、つっかい棒のように力で支えている棒は、角度が少し変わっただけで倒れてしまいます。それと似た状態が、力で固めたホールドです。固めることでむしろ不安定になる、という逆転した現象が起きているのです。
また、腕や肩に力が入っているとき、呼吸も浅くなりがちです。体がかたまった状態で長時間踊ると、じわじわと疲れがたまって、ますますホールドを維持しにくくなる、という悪循環になりやすいのも特徴のひとつです。
腕を緩めたら、むしろ崩れなくなった
一方、「力をかける」というのは、体の位置やバランスを整えることで自然にホールドが保たれるような状態に近いイメージです。
腕を持ち上げる力ではなく、体全体の重心と背中の位置が安定していることで、腕が自然にその場所に収まる感覚。こうなると、腕に余計な力を入れなくても角度がキープされやすくなります。
バランスで保つ状態になると、パートナーの動きを感じながら自分も動けるようになります。力で固めているときとは違い、体がやわらかく反応できるので、動きながらでもホールドが崩れにくくなるのです。
力をゆるめて支えたら、ホールドが変わった——ある方の事例
ある女性ダンサーの方は、レッスンのたびに「ホールドが崩れる」と指摘され続け、腕の形や肘の位置を細かく意識するようにしていたそうです。それでも崩れるたびに、もっと力を入れて維持しようとする、という流れを何度も繰り返していました。
あるとき、腕に入れていた力をふっと抜いて、背中の位置を整えることに意識を向けてみたそうです。すると、腕の形を気にしていたときよりも、ホールドがすっと落ち着く感覚があったといいます。
力を抜くと崩れると思っていたのに、逆に安定した——その感覚が不思議だったとおっしゃっていました。力を抜いたら崩れると思っていた、そう話す方は多いです。
力みを取る体の使い方について、もう少し広い視点で知りたい方は脱力の考え方も参考にしてみてください。
背中とひじ、こう変えたら力みが取れた
ホールドを保とうとするとき、多くの方は「肘をどこに上げるか」「腕をどの角度にするか」に集中します。ただ、背中の状態が整っていないと、どれだけ腕の位置を調整しても維持しにくいままです。
背中については、「伸ばす」「張る」というより、「ふわっと広がっている」くらいのイメージが、力みを抜くうえでは合っている場合が多いです。背中を無理にまっすぐ固めようとすると、肩に力が入りやすくなり、それがひじや腕の緊張につながっていきます。
ひじについては、「上げる」というより「浮かせる」くらいの意識の方が、余計な力が入りにくいと感じる方がいます。ひじを「上げなければ」と思うと、そこに向かって力が集中しがちです。でも「ただそこにある」くらいの感覚でいると、肩や腕の緊張が抜けやすくなります。
社交ダンスの世界大会に出た経験のある先生が「相手(パートナー)を感じやすくなった」と話していました。体の使い方が変わると、ホールドで力んで腕を保持しようとしなくなる、という体験でした。一生懸命やっているのにホールドが崩れてしまうとしたら、「もっと力を入れる」方向ではなく、「どこの力を抜くか」を考えてみることが、ひとつのきっかけになるかもしれません。
体の使い方をじっさいに試せる場があります。よければ一度のぞいてみてください。


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